養育費の相場&支払い期間の目安―不当な要求や未払いをなくすためのポイントも解説
子の親権を得るにあたり、もらえる養育費の金額・期間が気がかりではないでしょうか。
最新の調査結果では養育費の平均金額=月4万円程度と発表されていますが、実際に取り決める際は夫婦の就労状況・子の進学予定も十分加味されることになります。
「子どもの数や教育期間にあわせて養育費の増額は可能か」「そもそも支払い約束を最後まで守らせられるのか」といった各ポイントについて解説します。
養育費の相場
養育費の平均額は月額4万円~6万円程度です。
平成28年度に行われた調査(リンク)では、母子家庭・父子家庭のそれぞれで平均金額が出されています。
母子家庭:43,482円
父子家庭:32,238円
養育費算定には明確な基準がある
養育費の算定基準となるのは「両親の収入額」です。
かつては複数の算定方法が存在しましたが、現在は裁判所・日弁連の両方で養育費算定表が公開されています。
算定された養育費のなかには、被服費・教育費・日用品の購入費だけでなく、教育費も含まれています。
実際にいくら支払いを受けるかは夫婦が自由に決めてよいものとされており、算定表は絶対ではありません。
養育費を増額できる条件
子育てにより多くのお金がかかる事情があれば、義務者から増額を求めるが出来ます。
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【養育費を増額できる条件】
- 私立の学校に通わせる予定がある
- 子どもに持病や障碍があり、療養費がかかる
これらの事情に配偶者(義務者)が納得しないときは、具体的にどのくらいの金額がかかるのか根拠を提示することも必要です。
養育費がもらえる期間
養育費がもらえる期間は「子どもが経済的に自立するまで」が原則ですが、夫婦が自由に決めて構いません。
かつては「成人年齢である20歳に達する月まで」と定めるのが主流でしたが、高等教育(大学など)への進学率が上がっている現状を踏まえると「22歳に達した後の3月まで養育費を支払う」と終期を決めるべきです。
「法務省の公式サイト」でも、進学の可能性を考えて養育費の支払い期間を決めるよう呼びかけが行われています。
【アドバイス】終期を決めて公正証書作成を
養育費支払いの終期を決めていないことが原因で、途中で支払いが止まるケースが相次いでいます。
こうしたトラブルを防ぐため、終期を明確に決めて公正証書を作成しておきましょう。
弊所では「養育費の取り決めは当初が肝心」と考え、曖昧にしない交渉を心がけています。
養育費の約束をどのように行えばいいのか分からないときは、是非ご相談ください。
養育費の減額要求・支払い拒否があったときは
養育費は子ども自身の権利であり、減額要求や支払い拒否は認められません。
ベースとなっている法律上の見解として、両親と同水準の生活を子に保証しなければならない(生活保持義務/730条)という考え方や、親が子どもを監護するための費用負担義務(民法766条)があるからです。
しかし、養育費の支払い義務者側に「別れた配偶者にお金を渡したくない」という気持ちが働き、不当に減額要求や支払い拒否がなされる場合もあります。
その場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
支払いできない根拠を説明させる
養育費の支払い免除・減額に応じなければならないのは、以下のような「やむを得ない事情」もしくは「義務者以外から十分な養育費を得られることが明らかな事情」のいずれかが認められる場合のみです。
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【養育費減免の根拠となるもの】
- 健康状態が悪化して働けない
- 転職やリストラが原因で収入が大幅に減った
- 義務者が離婚後しばらく経ってから再婚し、子どもができた
- 権利者が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組している
こうした事情もなく、ただ生活が苦しいからという理由で養育費減免を求める正当性はありません。
義務者から減免の交渉があったときは、まずその根拠をしっかりと問いただしましょう。
養育費の金額・もらえる期間を適正化するためのポイント
【アドバイス】義務者の「面会交流権」も認める
面会交流権とは、子どもと離れて暮らす親が継続的にコミュニケーションを取る権利をいいます。
家庭内暴力等の特殊事情がない限り子どもを権利者と交流させようとしない」という約束は難しいでしょう。
過去の養育費支払い期間の延長をめぐる判例でも、義務者と子どもとの間に交流がないことが指摘されています(東京高裁平成29年11月9日決定)。
養育費の交渉はお任せください
養育費の金額・支払い期間に明確な決まりはありません。
それぞれの家庭の事情を反映し、生活の変化も織り込んで決めるべきです。
支払い条件を最大化するために、求めたい条件の根拠を義務者に理解させることのできる専門家の力が必要です。
時には、子どもの気持ちを優先しながら譲歩しなければならないこともあるでしょう。
弊所では「親としての気持ち」と「子どもの将来」の両方をくみ取れるご相談対応を心がけています。
子の将来を織り込んだ離婚問題の総合的解決はお任せください。