熟年離婚の特徴・離婚協議の注意点とは?―老後の経済的支柱を守るためのポイント
熟年離婚の割合は2000年代に入ってから上昇しています。
「突然妻に離婚を告げられた」「人生の転機に離婚したい」というケースが増えるとともに、離婚時解決を要する独特の問題があることも表面化しています。
夫婦双方が心置きなく第2の人生を始めるために、何よりも生活の基盤を確保すべきでしょう。
熟年離婚の特徴や兆候を解説した上で、離婚手続きが始まったときに注意したいポイントを紹介します。
熟年離婚とは
熟年離婚とは「婚姻期間20年以上の夫婦の離婚」とされています。
必然的に夫婦の年齢が50代以上に及びがちで、リタイア後の生活を意識することになるでしょう。
熟年離婚する夫婦は平成20年の時点で全体の16.5%(参考リンク)に及び、決して無視できる数字ではありません。
熟年離婚の特徴
熟年離婚に最も多いのは「突然離婚を切り出す/切り出される」という事例です。
切り出される側として、準備が不十分なまま離婚協議のテーブルに着かされる形となり、困難な対応を強いられることになるでしょう。
切り出す側では、離婚すべきか熟慮して長い準備期間を経なければなりません。
では、熟年離婚の兆候・特徴とは何でしょうか。
どちらかが家事・育児に非協力的
最も多いのは、これまでの結婚生活のなかで家事・育児に非協力的だったというケースです。
家庭観のズレが原因であることも少なからずありますが、仕事が忙しく参加できなかったというやむを得ない事情もあるでしょう。
注意したいのは、家事不参加が原因で「家計の状況も把握できていない」という不利な状況に置かれている可能性があることです。
このまま状況を見過ごすと、離婚手続きのときに予想を超える資産があっても、それに気づくことが出来ません。
会話が少なくお互いの状況をよく知らない
夫婦の会話が少なく心の距離が離れてしまっているのは、熟年離婚に至りやすい特徴・兆候です。
やはり注意点として、家計の状況だけでなく「配偶者が財産を移動し始めていることに気付けない」というリスクが指摘されます。
普段のささいな心理状態の変化に気付けない関係だと、離婚を意識した行動を素早く察知することが出来ません。
会話がなくても、相手の様子には常に気を配っておくべきでしょう。
離婚のきっかけは「子どもの自立or定年退職」
離婚を切り出されやすいのは、子育てがひと段落したときやリタイア時です。
相手方に離婚を予期させるような行動が見られるときは、人生の節目を迎えるタイミングをひとつの目安として注意しなければなりません。
反対に離婚を切り出す側では、準備していることを察知されないよう慎重にことを運ぶ必要があります。
熟年離婚で注意すべきこと
夫婦の年齢を考慮すると、新しく就労能力や収入源を得るのは難しいでしょう。
こと収入格差の大きい夫婦の間では、これまで家事で家庭に貢献してきた側(専業主婦/主夫など)が路頭に迷いかねません。
では、具体的にどのような面で注意すればよいのでしょうか。
ポイントを3点紹介します。
離婚調停での判断傾向としても、夫婦の一方が自活できそうにない場合は「復縁案」を調停委員から提案されるケースが見られます。
経済的不安だけでなく持病があるケースでも同様に、離婚後も十分な看護を受けられる体制を整えることが“夫婦の義務”として課せられます。
離婚を成立させてスムーズに新しい人生を始めるには、お互いに自立を支援する意思があることを示し、歩み寄ることが大切です。
どのような協議が望ましいか、弊所より500件以上の相談対応実績をもとにアドバイスいたします。
退職金も財産分与の対象となる
最初に注意したいのは、離婚協議時に退職金を財産分与しなければならない点です。
退職金には賃金の後払い的性質があり、その金額評価には家事による“内助の功”が認められることから、原則50%の割合で財産分与請求が行えます。
定年退職前でも財産分与請求ができる
目安として10年以内に定年退職する予定であれば、将来もらえる退職金も分与対象財産になるとされています。
退職金受給予定者に十分な資力があれば、離婚時に退職金予定額の半分相当を受領しておくべきでしょう。
支払い約束が先になる場合でも確実に分与請求額を回収するには、公正証書での約束は欠かせません。
年金分割は必ず行う
次に重要なのが、年金支払い記録の分割(年金分割)です。
離婚協議時に話し合いで取り決めを交わした上で、離婚協議書(公正証書)をもとに年金事務所で手続きする必要があります。
年金分割の重要性は、収入ではなく家事メインで結婚生活を支えていた人ほど増します。
一般的なサラリーマンの年金制度は、国民年金(全員が加入する年金)+厚生年金(会社員を対象とする年金)の二階建てです。
このうち受給額の中心を占めるのは厚生年金であり、就労年数が少ないほど年金が少なくなると言い換えることも出来ます。
専業主婦(主夫)だけでなく共働き夫婦も、忘れずに年金分割を行いましょう。
浮気の慰謝料には「時効」がある
熟年離婚の悩みはご相談ください
熟年離婚は「突然切り出される/切り出す」という事例が数多くあります。
熟年離婚の特徴上、離婚を切り出される側が資産状況について把握できていないというケースは珍しくありません。
一方的な話し合いにならないよう、夫婦どちらも公平に家計・財産状況を把握しておくべきです。
また、退職金と年金の分与請求・慰謝料請求を忘れずに進め、お互いの自立に協力する意思を示すのが良いでしょう。
熟年離婚をお考えのかたへ、セカンドライフで起こり得る不測の事態まで視野に入れた総合的解決策を提示しております。
まずは気兼ねなくご相談をお寄せください。