不貞慰謝料の請求の流れは?時効成立前の早期対処を

配偶者の不貞が発覚したときは、償いを受けるまでのプロセスをあらかじめ決めておくことが大切です。

具体的には、「不貞の事実と経緯」「賠償責任の根拠」「具体的な支払い条件」を順に確認するように進行します。

適切な手順を踏むことで、支払い約束に強制力が生まれるばかりでなく、配偶者に離婚の責任を問う際の言い逃れも防ぐ効果も得られます。

ここでは、不貞慰謝料請求の流れについてお伝えします。

不貞慰謝料請求の流れ


慰謝料請求は「不貞の事実と経緯」「賠償責任の根拠」「具体的な支払い条件」を順に確認するように進行します。

このうち賠償責任の根拠は請求手続きの核となる要素であるため、交渉開始前に主張したい内容を以下に沿って整理しておく必要があります。

    【不貞慰謝料(損害賠償請求)の根拠となる事実】

  • 度重なる肉体関係があった
  • 離婚または別居に至っている
  • 既婚者だと知りながら関係が継続していた

また、口頭請求はおすすめできません。

慰謝料支払いの約束とは契約の一種であると認識し、手続き中に相手の確認または合意が済んだ事項については、全て書面化しておくのがベストです。

【Point】総合的な解決に向けたプランニングはお任せください。

解決すべき問題が不貞慰謝料だけであるという事例は稀です。

実際に請求プロセスを決める際は、別居する・離婚に向けて話し合いをするといった他の対処も絡め、状況にそぐう計画を立てる必要があるでしょう。

弊所弁護士は、ご家庭の未来を第一に考えた総合的な解決策の提供を心がけています。

より緻密な対処の流れについては是非ご相談下さい。

1.証拠確保+相手の身元確認


配偶者の不貞に確信を持ったら、まずは証拠確保に努めます。

密会の疑いがある日は記録し、映像や音声証拠を積極的に取得しましょう。

相手方の言い逃れを防ぐ材料として活用できます。

【アドバイス】身元確認を忘れずに

請求交渉を始める上で、相手の氏名住所を特定できる情報は最低限必要です。

「配偶者と職場の同僚である」などの立場上の関係だけでも把握しておきましょう。

2.内容証明郵便の送付


請求することを相手に伝える手段は、配達証明付きの内容証明郵便が適当です。

意思表示が伝達された証明を得ることで、時効成立を阻止しながら交渉のテーブルにつかせるためのプレッシャーを与えることにもなるでしょう。

【アドバイス】口頭請求でも内容証明の送付は忘れずに
口頭で相手方に請求意思を伝えたとしても、後々「聞いていない」と否認される可能性があります。

請求相手への電話または面談時に伝えた内容を書面化し、請求した事実を残すために改めて内容証明を送付しましょう。

3.交渉開始


交渉は不貞の経緯確認から始まります。

「知り合った時期」「既婚者であると知りながら関係を持っていたこと」「不貞期間」「性交渉の回数」を順に相手に認めさせなければなりません。

被害者に多大なストレスがかかることは当然予期できるため、ここから先は代理弁護士に任せるのもひとつの選択です。

事実確認が終了しだい、損害賠償の根拠となる事実に加えて下記の支払い条件を定めます。

    【交渉の最後に行う約束】

  • 上記事実に対する支払金額+支払期日
  • その他の約束事項(不貞関係の解消など)
  • 契約違反時の慰謝料

4.示談書または和解書の作成


話し合いで請求額と和解条件が確定したあとは、示談書(または和解協議書)を作成します。

約束した事を全て記載し、相手方の署名を得ましょう。

最後に、作成した書類のコピー(副本)を相手方に送付します。

【アドバイス】分割払いに応じる場合は「公正証書」の作成を
分割での支払いに応じたときは「期限の利益喪失(一括請求への移行条件)」を条項に加え、公正証書を作成することで執行力が得られます。

被害者・加害者両名の立ち合いが求められるものの、弁護士を代理人とすることで、不貞の当事者と顔を合わすことなく不利益のない手続きを実現できます。

【判例あり】不貞慰謝料請求には時効がある


不貞慰謝料には時効があり、不貞の事実を知ってから3年(民法第724条)で請求権が消滅します。

事実発覚から離婚までの期間が開くほど有責配偶者への責任追及が難しくなる点も否めません。

「いったんは不貞問題を許したが、どうしても心の整理がつけられず離婚に至った」という事例においては、下記のような重要判例があります。

【判例】最判例平成31年2月19日
原告:男性
被告:原告の元妻の当時の不貞相手
経緯:原告の妻は平成21年6月から被告と不貞行為に及び、原告はこの事実を平成22年5月に知る。

不貞事実発覚とほぼ同時期に関係が解消され、その4年後である平成27年2月に調停離婚が成立。

→判決「不法行為が離婚の直接的原因であるとは評価できない」として慰謝料請求を退けられる。

上記の事例は、不貞慰謝料ではなく「離婚の原因を作ったことに対する慰謝料」を求めたケースです。

不貞慰謝料はすでに時効を迎えているため請求できません。

そこで不貞を離婚の原因として訴え出てはみたものの、婚姻関係の破綻との因果関係が証明できないと判断されてしまいました。

すぐに離婚に踏み切れない時は


不貞当事者を許せない気持ちはあっても、経済的不安等が理由で離婚に踏み切れない場合もあるでしょう。

左記のような状況でも、ひとまず慰謝料請求により被害認識を明らかにしておくのは意義あることです。

後の離婚調停で「不貞問題で苦しんだ(離婚原因に遠からず関係している)」と印象付けることで、調停委員の意見を大きく変えられる可能性があります。

不貞慰謝料の請求は「淡々と・迅速に」


不貞行為への対処のポイントは、淡々と「事実確認」「賠償責任の根拠説明」「具体的な支払い条件の取り決め」を順に進めることです。

夫婦が関係修復に前向きであっても、時効を意識してすぐにけじめをつけるべきでしょう。

弊所弁護士は、「経済的不安と精神的苦痛の両方を解消したい」という被害者の心情に向き合い、状況に応じた最適なプランをご案内しています。

事実を知ったばかりでどう対処してよいか分からないときは、お気軽に弊所の無料相談をご利用ください。

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