離婚時に請求できるお金の種類とは―金銭的に不利にならないための必須知識

離婚と将来のお金の問題は切っても切り離せないものです。

収入を得る手段に不安があり、配偶者に請求できるお金の種類を知りたいと考える人は多いのではないでしょうか。

お金の悩みの解決策は、もらえるものをキチンともらっておくことです。

共有財産を1/2ずつ分け合うことができる「財産分与」を始めとし、結婚生活の状況に応じて養育費・慰謝料など上乗せできる請求権は多数あります。

経済的に不利な状況で自立を強いられることに不安を覚える人へ、離婚時に必ず請求できるお金・状況により上乗せできるお金のそれぞれに分けて解説します。

【一覧】離婚時に請求できるお金


夫婦には最後まで相互扶助義務が課せられており、いかなる場合でも離婚するときは「財産分与」が必要になると法律で定められています。

加えて、子どもがいる場合は養育費負担も求めることが出来ます。

①必ず請求できるもの

  • 財産分与(民法768条)
  • 年金分割(同上)
  • 養育費(民法752条・752条・766条1項)

不貞行為やDV等の離婚原因がある場合には慰謝料(損害賠償請求)も認められています。

離婚が決まるまで一旦別居するとしても、別居期間中の生活費(婚姻費用)は原則もらえることも定められています。

②状況により追加請求できるもの

  • 慰謝料(民法709条~711条)
  • 婚姻費用・日常家事債務(民法752条・760条~762条)

これらの経済的清算の条件は、協議離婚により夫婦間の自由な話し合いで取り決めても構いません。

もし話し合えそうにないときは、離婚調停を申し立てて家庭裁判所で話し合うことも出来ます。

実際にもらえる額については、各請求権の根拠・一般的な請求額の両方を知っておくと見込みが立てやすくなります。

①必ず請求できるお金


この項で紹介するのは「離婚原因や収入格差に関わらず必ず請求できるお金」です。

きちんと請求しておくことで、当面のお金の悩みを解決し、老後についても一定の安心感が得られます。

財産分与


財産分与とは「結婚生活中に築いた財産」を夫婦で平等に分け合う義務(あるいは請求する権利)です。

預貯金・不動産・事例により退職金に至るまで、原則として50%に相当する額を請求することが出来ます。

注意しなければならないのは、住宅ローン等の負債も分与の際に考慮されることです。

年金分割


財産分与の権利のひとつとして「年金支払記録の分割」も求めることが出来ます。

分与割合は同じく原則50%ずつ(国民年金は50%で固定)です。

年金分割は、離婚手続きとは別に日本年金機構に申し出なければなりません。

期限は「離婚成立の翌日から2年以内」と定められています。

養育費


養育費とは、子を監護する親(親権者)がもう一方の親に請求できる費用です。

家庭裁判所や日弁連の研究をもとに、子の年齢・両親それぞれの年収を基準として目安額が公表されています。

【例】専業主婦が7歳の子の親権者となり、元夫(年収500万円)から養育費支払いを求める際の金額相場
→4~6万円

参考:裁判所資料 「養育費算定表」新算定票参照

養育費の相場額は絶対ではなく、夫婦それぞれの今後の収入の見込み・近年の家裁の判断傾向等も鑑みて決められるのが一般的です。

また、養育費算定表そのものも、裁判所と日弁連で金額に若干差があります。

自身のケースで見込める養育費の金額については、弁護士に相談するのが望ましいでしょう。

②状況により追加で請求できるお金


離婚原因や夫婦間扶助義務が果たされなかったことを理由とし、請求額を上乗せできます。

「結婚生活中のトラブルが原因ですぐ働けそうにない」という状況なら、ここで紹介する請求を行うことで、問題解決に繋げることが出来るでしょう。

慰謝料―不貞行為や家庭内暴力があるケース


離婚原因が相手方にあり、かつ以下のような精神的苦痛を伴うものであれば、慰謝料請求(損害賠償請求)が認められます。

    【慰謝料請求が認められるケース】

  • 不貞行為
  • DV・モラハラ
  • セックスレス
  • 生活費を渡さない
  • 浮気相手と同居している

金額相場は不貞行為で100~200万円程度です。

裁判まで争った例では、複数の家庭内問題を抱えた夫婦が300万円を越える慰謝料を認められたケースもあります。

結婚生活中の心の傷を癒すには、相当の蓄えと休養が必要です。

まずはいったん要求したい金額を相手に提示してみるべきでしょう。

婚姻費用&日常家事債務―生活費が未払いのままのとき


夫婦の信頼関係が破綻に向かうと、必要な生活費が支払われず、結婚前の貯金を切り崩さなければならない場面も多々見られます。

結婚生活中にかかるお金(家賃・水道光熱費・被服費など)は夫婦で分担すべきものとされているため、相手に請求することが出来ます。

ただし、基本的には請求時点(婚姻費用分担請求調停の申立)からの負担分しか請求できません。

過去にさかのぼって請求するなら、相手に生活費を要求したことが分かる証拠(メッセージ記録など)や相手方に離婚原因があることを追究する必要があります。

「離婚時のお金の問題」は弁護士が解決できる


最低限の権利である財産分与・年金分割・養育費を求めるにしても、お金の不安以上に「相手に言いづらい」という気持ちがあるのではないでしょうか。

真摯に支払い義務を受け入れてくれたとしても、なぜその請求をするのか(金額の根拠はなにか)という点を説明するのは難しいでしょう。

弊所では500件以上の相談実績を持ち、離婚に付きまとうお金の問題について様々な視点からアドバイスを行ってきました。

経済的に弱い立場にある人の悩みを理解し、複数のアプローチを組み合わせながら提案することが出来ます。

是非ご相談ください。

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