弁護士が解説する離婚準備の4ステップ―離婚後の新生活を不安なく始めたい人へ
漠然と「離婚準備は何をすればいいのか」といったことに悩んでいませんか。
ここで必要なのは、離婚を相手に認めさせ、離婚後の生活のために必要な保証を受ける方法です。
子どものいる家庭では親権と養育費についても解決すべき課題でしょう。
離婚を決意してから新生活開始までをトラブルなく進める上で、準備段階が何よりも大切です。
最初に何を検討すべきか、夫婦間でどんな話し合いが行われるべきか、これから配偶者に別れを告げようとする人に解説します。
ステップ1:離婚理由の明確化&証拠確保
はじめに「なぜ離婚を決意したのか」を自分の中で整理しましょう。
私的な話し合いではなく裁判上で離婚を求める際、司法の価値観に合致するようきちんと離婚理由を説明する必要があるからです。
離婚理由は慰謝料請求の根拠にもなる
離婚理由を明確化する目的は、単に離婚を成立させるためとも限りません。
「配偶者の不倫」「DV・モラハラ」「家庭生活に協力しない」等の行動で離婚の決意に至った場合は、財産分与に加えて慰謝料(損害賠償請求)も請求できます。
離婚後の新生活で婚姻期間中の苦しみを癒すには、治療費を含めて十分な資金が必要です。
配偶者から辛い仕打ちを受け、それが離婚の直接的なきっかけになった経緯は、日記や証拠写真などの資料で整理しておくのが望ましいでしょう。
ステップ2:離婚後の生活プランを立てる
第二段階の準備は、離婚後の生活費や住まいついてイメージする最重要プロセスです。
離婚と同時に手元に残る資金をもとに、経済的自立までどのくらい時間がかかるか・子どもを育てるために何が必要かを考えなければなりません。
ただし「離婚と同時に無一文で追い出されるのではないか」と焦る必要はありません。
専業主婦(主夫)や収入格差の広い共働き夫婦のケースでも、離婚原因と関係なく配偶者に対し財産分与※を請求する権利があるからです。
【参考】財産分与(民法768条1項)とは
夫婦が協力して築いた財産は、離婚時に公平に分割する義務が課せられています。
「分与請求された側が専門性の高い職についている」等の特段の事情がない限り、収入のまったくない配偶者側からでも共有財産全体の50%を請求することが出来ます。
経済的自立までにどのくらいかかるか(期間&生活費)
財産分与できることを知った上で、請求見込み額で離婚後の当面の生活費をまかなえるかどうかが課題となります。
十分な収入を得られるまで時間がかかりそうなら、離婚を切り出した時に配偶者に相談してみる必要もあるでしょう。
結婚生活中であれば、夫婦間扶助義務により「婚姻費用(=生活費)」をもらう権利が継続します。
自立するまでの期間をご自身のなかで決めておき、手に職をつけるまでひとまず別居して結婚生活を続けるという選択も考えられるでしょう。
「相手にどのくらいの金額をもらえそうか」「そもそも今離婚すべきか(もしくは別居に踏み切るべきか)」というお悩みに回答できるよう、弊所では無料相談をご用意しています。
子供の養育費としていくら必要か
子どもの親権を得るつもりであれば、財産分与とは別に養育費も請求できます。
親権を相手方に渡すつもりなら、逆に養育費を支払わなければなりません。
ここで考えなければならないのが「子ども自身が経済的に自立するまでの年数」です。
養育費がもらえる期間は原則として満20歳までですが、大学等の高等教育を受けさせる予定があるなら「22歳に達するまで支払う」もしくは「大学卒業を卒業するまで支払う」という約束を配偶者と取り交わすことが出来ます。
養育費の相場・見込み額については、裁判所や日弁連が算定表を用意しています。
実際の事例では必ずしも算定表通りとは限らず、夫婦それぞれの離婚後の生活状況に合わせて細かく調整されるのが常です。
ご自身のケースでの養育費見込み額を知りたいときは、是非気軽にご相談ください。
住まいをどうするか
住宅の名義人が配偶者なら、離婚後の新しい住まいを探す必要があります。
コスト面で最も好ましいのは実家ですが、事情により親族を頼れない人も多くいます。
子どもの生活への影響を考慮すると、現在の住居を離れるべきでない可能性もあるでしょう。
「どうしても現在の自宅を離れたくない」という想いが強いときは、ステップ3で離婚条件に盛り込む必要があります。
ステップ3:提案したい離婚条件を決める
最後に、相手に提案したい離婚条件を決めておきます。
注意すべき点は、財産分与・養育費・慰謝料はそれぞれ独立して請求権がある点です。
下記の離婚協議で話し合うべき内容を前提とし、譲れない点・多少妥協してもいい点をそれぞれ決めておきます。
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【離婚協議で話し合うべきこと】
- 財産分与(年金・住宅ローン残債も含む)
- 慰謝料
- 養育費
- 親権をどうするか
- 子どもとの面会はどのくらいのペースで行うか
- 今後の夫婦の住まいをどうするか
実際に離婚協議が始まると、相手方からも様々な要望が突きつけられます。
専門家と相談して法律上請求できる権利を確認しておき、厳密に離婚条件を決めずに協議に臨んでもよいでしょう。
ステップ4:離婚を切り出すタイミングを見計らう
全ての準備が整えば、いよいよ離婚を切り出します。
自分でしっかりと離婚の流れを意識していても、いざ話し合いが始まると配偶者に主導権を握られてしまうかもしれません。
あるいは「離婚したくない」「財産分与に応じられない」と頑なに主張される可能性もあります。
どうしても離婚を切り出しにくい事情があれば、同居中に(あるいは別居と同時に)弁護士から伝えてもらうのも良い方法です。
「離婚後の生活」を大切にしたナビゲートを行います。
弊所弁護士は、9年間のキャリアを通じて家庭問題を中心に解決に取り組んできました。
他業者で扱う離婚事例についても研究を進め、離婚を望む人の心情と現実への理解を深めています。
1人で何もかも解決する必要はありません。
配偶者とのこれまでのいきさつ・ご自身の経済的状況をお話しいただくことで、ケース毎に「離婚準備から離婚後の生活まで」の全体のプランをご説明することが出来ます。
まずはお気軽にご相談ください。