離婚成立までの流れ―協議離婚・調停離婚のポイント

「離婚は結婚の3倍の労力がかかる」と俗に言われることから、先の見えない長い闘いを想像してしまうのではないでしょうか。

離婚成立までの全体の流れ・各ステップでやるべき事を把握してから手続きに臨めば、スムーズな関係解消は難しくありません。

協議離婚・調停離婚それぞれの道のりをイメージできるよう、離婚の専門家の視点で解説します。

離婚成立までの流れ(協議離婚)

婚姻関係の解消で避けて通れないのが、財産分与や子の養育に関する取り決めです。

左記に関する話し合いが離婚成立までのスケジュールの大部分を占めると言っても、決して過言ではありません。

はじめに、夫婦間の話し合いのみで離婚成立を目指す「協議離婚」の流れを紹介します。

1.配偶者に離婚を切り出す

まずは配偶者へ明確に離婚意思を伝えて、合意を求めることが大切です。

「何となく夫婦としてやっていけない」という理由でも、性格または生活習慣の不一致として法的な離婚事由に該当します。

離婚決意の経緯として、遠慮なく相手に伝えましょう。

「離婚を認めようとしない」「相手方の家族に阻まれる」等の問題が懸念されるケースでは、弁護士を代理人として離婚意思を表明するのが適切です。

2.夫婦で離婚の条件について話し合う(協議)

相手方が離婚に同意した後は、実質的な関係清算の条件である「夫婦間の金銭的清算」「子の養育に関わること」の2点について話し合います。

【要チェック】離婚協議の内容
①夫婦間の金銭的清算
…財産分割・年金分割・慰謝料(※不倫やDVがある場合)・婚姻期間中の生活費
②子供の権利の保護
…養育費支払い・親権者の決定
③その他
…婚姻生活中の住居の処分・住宅ローンの負担など

全ての協議事項で合意に至ったあとは、離婚協議書を作成して約束事を書面化します。

弊所からのアドバイス

上記①夫婦間の金銭的清算では、民法で扱いの異なる「財産分与(第768条)」「慰謝料(第710条)」「養育費(第766条1項)」を区別して話し合うことがポイントです。

それぞれの金額相場は算定表や判例に基づいており、夫婦の状況(婚姻期間・収入・子供の数と年齢・共有財産の内訳など)をもとに計算します。

弊所では、あらかじめ弁護士が具体的な金額を盛り込んだ離婚協議書を作成しておき、これをもとにご夫婦で検討していただくという方法もご提案できます。

ご夫婦ともに不明点の多い離婚は、是非私たちにお任せ下さい。

3.協議内容をもとに公正証書を作成する

離婚協議書はあくまでも私文書であり、法的拘束力はごく弱いものです。

協議内容を元に公正証書を作成しておけば、万一の養育費・財産分与の不履行の際に有効な対処をとることができます。

協議離婚においては、公正証書作成を忘れるケース(もしくは相手に気遣ってしないケース)も見られます。

後々のトラブル回避のため、忘れず粛々と手続きを取るのがよいでしょう。

4.離婚届を提出する

公正証書作成が終われば、いよいよ離婚届を提出します。

正式に夫婦関係を解消すると同時に、旧姓に戻る手続きについて検討しなければなりません。

子の姓は両親が婚姻関係を解消しても父方のままとなるため、妻の旧姓を名乗らせたい場合は「子の氏の変更許可(民法791条)」を家庭裁判所に申立てます。

一方で、元夫婦のうち相手方の姓を名乗っていた方については、離婚後に別途手続きをしなくても旧姓に戻ります。

職業上不都合が生じる等の事情があるときは「婚氏続称届」を市町村役場に提出することで、引き続き婚姻中の姓を名乗ることが出来ます。

協議がまとまらない時の流れ(調停離婚)

離婚そのものの合意や金銭的清算・子の養育に関する諸条件は、家庭裁判所に場所を移して話し合いを進めることも出来ます。

この方法が適しているのは、以下のケースです。

    【調停離婚が適しているケース】

  • 相手が離婚に同意しない
  • 意見対立が激しく、話し合いが進まない
  • すでに別居が長期化している
  • DV・モラハラ・不倫などの有責行為がある

具体的な離婚成立までの流れを見てみましょう。

1.家庭裁判所に調停を申し立てる

離婚調停(夫婦関係調整調停)を始めたいときは、夫婦の一方が居住地の家裁で申立手続きをとります。

    【調停申立時の必要書類&費用】

  • 申立書
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 年金分割のための情報通知書
  • 申立費用:収入印紙1,200円分+返送用郵便切手代

2.相手方の呼び出し

申立書類の確認が家裁で終了すると、2週間程度で相手方に呼出状が送達されます。

相手方が応じないと調停は進まないため、回答がないときは地方裁判所へ訴状を提出します(裁判離婚)。

3.第一回~第二回調停期日

申立以降、調停は約2ヵ月ごとに1回のペースで実施されます。

調停委員が同席して夫婦の話し合いをサポートし、財産分与等の諸条件について一点ずつ合意に至るまで話し合いを行います。

ここで「意見対立または一方の故意で調停が進まない」と判断されると、調停に代わる審判が開始されます。

弊所からのアドバイス

調停委員に好意的な印象を与えて相手方の合意を誘うには、主張の根拠を整理し、金額の提示はなるべく離婚の実例に近づけたものにしておくのがベストです。

限られた時間のなかで離婚問題を解決するために、調停員の判断傾向を熟知した弊所弁護士がお手伝いします。

4.調停成立+離婚届提出

調停で夫婦が最終合意に至ると、その内容をまとめた調停調書が発行されます。

調停調書は執行力を有し、約束不履行の際に法的措置をとる手段として活用できます。

また、調停成立後は10日以内に離婚届を提出しなければなりません。

まとめ:離婚の複雑化&長期化を避けるために

夫婦がやるべきことを順に整理しておけば、離婚は決して遠い道のりではありません。

離婚の条件(財産分与や養育費など)を決める際は、事前の主張整理・約束不履行に対する備えの各ステップが特に重要です。

弊所では「何から着手すべきか分からない」「後でトラブルにならないようにしたい」というざっくりとしたご質問にも対応できるよう、無料相談を設けております。

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