不貞相手に慰謝料請求はできるのか―請求条件と被害者側の留意点

「不貞相手だけ償わずに逃げ回るのは許せない」このような被害者の気持ちに対しても、十分な保証があって然るべきです。

法的にも、損害賠償は不貞カップルが連帯して行うものとされています。

既婚者と知りながら関係を持ち、夫婦関係の破綻という結果がもたらした相手方に対しては、責任の根拠を明らかにすることで慰謝料請求が認められるのです。

不貞相手に償いをさせることは決して難しくありません。

弊所弁護士の扱った損害賠償請求の様々な事例をもとに解説します。

不貞相手に賠償義務が生じる根拠


本来、不貞カップルには慰謝料の支払いを分担する義務が課せられています。

被害者が自身の配偶者に対し支払いを求めなかったとしても、これを理由に不貞相手が慰謝料から逃れることは出来ません。

その根拠は、不貞行為が共同不法行為(民法719条第1項前段)として扱われる点にあります。

連帯する両名の賠償責任は独立していると考えられているため(不真正連帯債務)、償わせ方として「カップルの一方だけに請求する」という選択も認められるのです。

請求できる条件


実際に請求を行う際は、まず不法行為があった事実(賠償責任の根拠)を明確にする必要があります。

これまでの経緯を整理して、以下の条件にあてはまる状況・証拠をまとめることが請求の最初のステップです。

【Point】相手から減額交渉があったときは
実際に請求を行う際は、必ず「減額してほしい」「分割払いにしてほしい」といった要求が行われます。

長期化を避けるなら多少の譲歩は必要となるものの、相手の資力の範囲内で精神的苦痛に見合う金額を最大限得るべきだと弊所は考えます。

弁護士に依頼するメリット・請求できる見込み額についての疑問や不安は、弊所の無料相談(60分)で回答可能です。

是非ご利用下さい。

①相手方の故意または過失


慰謝料請求に必要なのは「既婚者であることを知り得た(知っていた)」という事実です。

事実確認を行うことで故意または過失による不法行為責任が生じ、慰謝料請求の根拠を認識させることが出来ます。

②不貞が夫婦関係の破綻をもたらした


正式に離婚が成立したときだけでなく、夫婦間の信頼関係が失われて別居を開始したときも「事実上破綻している」と主張することが出来るでしょう。

③請求権が時効消滅する前である


不貞慰謝料は「損害及び加害者を知った時から3年間(民法第724条)」で時効消滅すると定められています。

当分は離婚できない事情を抱えていたり、夫婦関係の修復を決意したりするケースでも、浮気相手への請求にはただちに着手しなければなりません。

不貞相手に慰謝料請求できないケース


強い精神的苦痛があっても慰謝料請求できないケースがあります。

以下のような「不貞相手側に過失がまったくない例」「出会い系サイト利用等による場当たり的な行為だった例」において、責任が否定されています。

    【不貞相手への慰謝料請求が認められないケース】

  • 風俗店によるサービス提供だった
  • 水商売従事者による「枕営業」だった
  • 不貞当事者がお互いに素性を知らない
  • 配偶者から肉体関係の強要があった

不貞の被害者が注意すべきこと


慰謝料を支払わせたい一心からの行動が迷惑行為として非難されるケースもあります。

慰謝料減額または刑事罰の根拠となってしまうため、浮気相手に対して以下のような働きかけをするのは控えましょう。

    【NG】不貞被害者が注意すべきこと

  • 「払わなければ職場に言いふらす」と告げる
  • 慰謝料支払いのために借金を強要する
  • 本人の家族や友人に対して弁済を求める
  • 証拠獲得を目的としてつきまとい行為・住居侵入を行う

十分注意をしているつもりでも、不貞行為の証拠を見つけるために依頼した探偵業者等によって迷惑行為が行われる可能性があります。

納得できない気持ちをそのままお聞かせください


不貞行為の賠償責任は、不貞カップルが連帯して負うべきものです。

夫婦が今後どのように関係を見直すかに関わらず、浮気相手だけが償わずに済む根拠はありません。

不貞相手への慰謝料請求で焦点となるのは、過失の度合い・夫婦関係の破綻という損害の事実です。

迷惑行為として指摘されることのないよう、慎重さも求められます。

弊所への相談は、離婚を決めかねている状態でも構いません。

「不貞相手に対して納得できない気持ちがある」というご状況をそのままお聞かせください。

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