父親の親権獲得が難しい理由とは―親権を得るポイント・どうしても不利な時の対応方法
「配偶者の母親としての適性が疑わしい」「父親として親権を獲得したい」
離婚にあたり、このような考えを抱く人は実に多くいます。
実例を見ると、やはり父親の親権獲得の比率は極めて低く、難しいと言わざるを得ません。
父親の親権が認められにくい理由を紹介した上で、親権獲得のポイント・子どもとの交流を保つ上で約束したいことを解説します。
父親の親権獲得が難しい理由
家庭裁判所によると、離婚調停で親権を獲得できている父親は10%にも達しません(平成28年度司法統計)。
その主要な理由は「子どもの年齢」にあると考えられます。
平均年齢に関する公式的な統計はありませんが、同居年数10年以下で離婚する夫婦が全体の6割以上を占めているからです(「厚生労働省による平成21年度離婚統計」)。
父親が親権を獲得するためのポイント
では、父親のどういった点が親権獲得にふさわしくないと考えられるのでしょうか。
主に案じられているのは「子の利益(民法766条)」の面です。
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【家庭裁判所が重視する「子の利益」とは】
- 養育の継続性
- 親権者・監護権者の十分な養育スキル
- 兄弟姉妹の不分離
- 子ども自身の意思
一般に男性は仕事中心の生活をしていることが多く、子の利益を十分守れるかどうかが不安だと考えられています。
この価値観を覆して父親が親権を獲得するには「子どもの幸福・利益を十分守れる」ということを伝えることが必要です。
より具体的に、どのようなポイントに留意すればいいのでしょうか。
親権者の資質を認めてもらう
民法や家裁の考える子どもの幸福を実現するには、以下の「親権者としての資質」を具備すべきとされています。
育児のための休暇がとれる状況か
子どもが熱を出したりすると、早退や有休をとって看護する必要があるでしょう。
不測の事態にすぐ家庭に戻れる職場環境かどうかは、子どもが幼いほど重視されます。
しかし、この点については「監護補助者」の存在でカバーできるでしょう。
実家・保育園などを頼れる状況か
仕事中心の生活を送っていることの多い父親は、実家の両親(子どもにとっての祖父母)や保育園・ベビーシッターなどの「監護補助者」を頼れる状態かが重視されます。
実家以外の各種施設やサービスに頼るなら、相応の安定した経済力も必要でしょう。
こうした点を踏まえ、養育継続性が総合的に判断されます。
育児実績は十分か
家庭裁判所は、これまでの育児実績を重視します。
「妻に育児を任せきりだった」という状況から親権を認めてもらうのは困難と言わざるを得ません。
調停での事情説明のほか、子どもが父親に示す反応を調査するため、家庭裁判所から調査官が派遣されることもあります。
子どもの意向
「態度や言動で父親との暮らしを望んでいることが分かる」「父親の住まいへ移ることによる進路・人間関係の変化に耐えうる」といえるでしょうか。
この点も、離婚調停が始まってからは調査官による心理テスト・事情聴取などで確認がとられます。
弁護士に相談・依頼する
子どもの意思・養育環境は母親主導になることが多く、ここまでのポイントを父親だけでクリアするのは難しいでしょう。
子育ての環境を整えつつ交渉や調停対応を弁護士に任せることで、親としての気持ちをと説得力ある方法で訴えることが出来ます。
弊所では、ご依頼人様の現状(法律上有利か・不利か)をはっきりとお伝えしたあとで、親権獲得への想いを最大限実現するための戦略を個別にご案内しています。
焦らずに「子どもにとって一番いい方法を取りたい」とアピールをすることで、父親としての望みは叶えられる可能性があります。
まずはご状況をお聞かせください。
どうしても親権が得られないときは
どうしても親権獲得が難しい状況であれば、視点を切り替えて「子どもとの交流を維持できる方法」を模索すべき場合もあるでしょう。
面会交流権を認めさせる
面会交流権(民法766条)とは、子どもが離れて暮らす親と交流をもつことのできる権利です。
より具体的には、以下のような手段で交流をもつことが認められています。
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【面会交流権の内容】
- 定期的に子どもと会う(月1~2回が最多/平成28年度司法統計)
- 子どもにプレゼントやお小遣いを渡す
- 写真・ビデオを監護親から定期的に送付してもらう
面会交流権は夫婦の話し合いにより離婚協議書(公正証書)で決められるほか、調停で決定することも認められます。
子どもと良好な関係を保ちながら「養育費などのお金の責任をきちんと果たすこと」を約束すれば、配偶者による面会交流権の拒否は難しいでしょう。
適切に権利を訴えていくことが大切です。
妻の不倫
一般に、不貞行為があったというだけでは、大きな問題(浮気相手と同棲するなど)がない限り、母親の資質欠如を家裁に立証することは出来ません。
しかし、親心としては当然不安です。
後日の親権者変更手続きも認められますが、その際に子の利益が損なわれていることを立証するのは、すでに離れて暮らしている立場として難しいでしょう。
父親として今後を見越した折衷案も、弁護士より事例にそって提案することが出来ます。
親権
父親の親権獲得が難しいのは、家裁が「幼い子供を十分に監護できる状況かわからない」という不安を抱いているからです。
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【父親の親権獲得のポイント】
- 子育てのサポート体制が万全
- 育児スキルも備わっている
- 子どもも父親と暮らすことを望んでいる(転居しても発育・学業・人間関係に影響がない)
また、子どもの幸福を実現する方法は一つではありません。
弊所では「依頼人と同じ目線でお子様の将来を考える」をモットーに、親権獲得のサポートを行っています。
家庭問題の総合的解決はお任せください。