DV・モラハラの証拠は「被害直後の行動」が重要―離婚成立&慰謝料請求のための立証のポイント
DV加害者との離婚成立と慰謝料請求を成功させるために、家庭内暴力の“証拠”があるとよいでしょう。
被害直後の初動の段階で、冷静に立証のポイントを押さえることが大切です。
「話し合っても別れてくれそうにない」「苦痛に見合う慰謝料をきちんともらいたい」と考えている人へ、配偶者からの暴力の証拠として証拠能力が高いとされている証拠を紹介します。
DV・モラハラの証拠となるもの
家庭内暴力の立証に求められているのは「日常的に行われていること」「実際に警察や医療機関を頼るほどの被害を自覚していたこと」の2点とされています。
以下のような公的記録・書類・映像音声資料は、これらを立証できる有力な証拠となるでしょう。
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【証拠能力が高い順】DV・モラハラの証拠となるもの
- ①警察等への相談記録
- ②医療機関の受診記録
- ③ケガや室内の様子を映した写真
- ④暴行中の映像・音声
- ⑤第三者の証言
- ⑦日記・メモ
いずれの証拠も、被害を受けたときの行動(または伝えるべき内容)が重要です。
家庭内暴力の経緯や被害状況の全容をはっきりとさせることで、離婚裁判に発展した場合の立証責任が果たせるからです。
以下では、証拠取得のポイントをさらに詳しく解説します。
ポイント1:警察or公的支援機関への相談はなるべく行う
離婚を意識するなら、家庭内で問題をとどめようとせず速やかに警察または公的支援機関への相談が必要です。
相談記録は離婚裁判で最も有力な証拠となるだけでなく、DV加害者に対する保護命令(接近禁止命令)やシェルター利用の条件となります。
ポイント2:受診時は「ケガの経緯」を正しく説明する
ケガをしたときの診断書を証拠として用いるなら、ケガの状態と経緯が分かるような内容であることが肝要です。
受診時には、以下の3点に留意して医師に伝えましょう。
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【医療機関受診時の留意点】
- ケガの原因が「配偶者の暴力」であることを伝える
- 受診時の目立つケガだけでなく、暴力によって生じた小さなケガの状態も診断してもらう
- 治療期間や治るまでの経過がわかる診断書を作成してもらう
DV被害者のなかには、自身の羞恥心や配偶者からの口止めが原因で「ケガの原因を正しく伝えることが出来ない」という人が特に目立ちます。
離婚請求の際に家庭内暴力の事実を否定されないよう、暴行があったことを医師に伝えることが最重要です。
身体に残るケガだけでなく、心療内科受診時も同様に留意しましょう。
ポイント3:写真・映像音声記録の注意点
写真や映像音声記録では、被害者と加害者がはっきりと分かる内容であるとよいでしょう。
証拠取得の上で、それぞれ以下の点に留意しましょう。
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【写真・映像音声記録を取得する際の留意点】
- ケガの写真…1枚の画像のなかに被害者の顔も映り込ませる
- 映像音声記録…「被害者と加害者の姿」または「名前を呼ぶ声」が記録されるようにする
ポイント4:第三者証言の取り方
家族や知人友人による証言は、調停に備え「陳述書」等に内容をまとめて署名してもらうとよいでしょう。
家庭内暴力の日時・内容・被害の度合いについて出来るだけ細かく証言してもらい、証言者が多いほど立証能力が高くなります。
子どもの証言も証拠になるのか
子どもの証言でも証拠能力は否定されないものの,立証能力には疑問があるとされています。
子どもの負担を考えると,未就学児に証言を求めること自体,慎重にならざるをえません。
成人かつ夫婦と利害関係にない第三者からの証言をなるべく集めるべきでしょう。
ポイント5:日記・メモの取り方
身体的被害を伴わないため立証しにくいモラルハラスメントでは、暴力行為の日時を特定した上での日記・メモを取ることが良いでしょう。
記述の際は以下の内容を押さえるのがポイントです。
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【暴力の証拠となる日記orメモのポイント】
- 暴力のあった日時と場所
- 暴力の方法(暴言の内容など)
- 暴力が行われた理由
お身体のために、医療機関の受診をお勧めしております。
客観証拠がなくても離婚は出来る
離婚成立に証拠が必須というわけではありません。
度重なる結婚生活中のトラブルにより被害者が「婚姻関係を継続できない」と確信を持っているのなら、その意思を尊重して離婚が成立することが多いです。
慰謝料請求・親権獲得では客観証拠が必要となる場合も
一方で「離婚には応じても、慰謝料請求と親権獲得は断固拒否される」というケースは稀ではありません。
弁護士による交渉から離婚調停へと発展してもなお相手が応じず、裁判に発展するケースも多々あります。
このような状況が予期される場合には、調停申立時点から立証の準備をしておくことが大切です。
DV・モラハラがすぐに身体の安全を脅かす内容でなかったとしても、一人で時間をかけて証拠獲得を行うのは望ましくありません。
加害者に動きが知られると、大きな事件に発展する恐れがあります。
勇気を出して離婚請求に臨んだのに、加害者が情に訴えかける作戦に出て諦めてしまうというケースもあります。
弊所ではご相談者様とお子様の身の安全を最優先に、専門家としての力量を活かして離婚請求をお手伝いすることが大切と考えています。
一人で行動しようとせず、法律相談だけでもご利用ください。
まずは専門家に状況をお聞かせください
DV・モラハラが原因の離婚成立を目指すときは、被害直後から警察または医療機関への相談を通じて「家庭内暴力を受けている」と証明する動きをとりましょう。
写真映像資料や第三者証言の獲得を目指すときは、被害者と加害者が誰であるか・被害の日時と状況はどうなのかを明確にすることが大切です。
弊所では夜間相談にも対応し、ご家族を含めご相談内容の漏洩がないよう十分な配慮を行っています。
今後も継続して証拠獲得に動くべきか、その際にどんなポイントに注意すればよいのか、気軽に弁護士の意見をお求めください。