【DV・モラハラでの離婚】DV・モラハラにあたる行為と有効な証拠の集め方

家庭内暴力(DV・モラハラ)は離婚事由のひとつであり、証拠を確保した上で早急に別居・離婚へと踏み切るべきです。

被害者自身はDVとの認識に乏しく、一人で離婚請求を進めることが困難な例が多いです。

離婚成立を難しくしているのは、DV加害者と正常に話し合いできる状況にない点でしょう。

家庭内暴力の種類を明らかにした上で、安全を確保することが肝要です。

DV・モラハラの種類


家庭内暴力は法定離婚事由(民法770条)であり、離婚裁判で事実関係が認められたときには離婚が成立します。

家庭内暴力とは「身体的暴力」「精神的暴力」「経済的虐待」「性的虐待」と言われています。

下記表のいずれかに当てはまるような場合には、精神的苦痛に基づく慰謝料請求も認容されています。

離婚事由となる家庭内暴力の内容
類型 具体的な暴行の内容
身体的暴力 殴る蹴る
物を投げつける・壊す
刃物等で脅す
精神的暴力 怒鳴る・無視する
人格否定・侮辱・命令をする
大切にしているものを勝手に処分する
家族や知人との交流を制限する
経済的虐待 生活費を渡さない
必需品を購入させない
仕事を辞めさせようとする
性的虐待 拒否しても性的行為を強要する
避妊に協力せず、中絶を強いる
見たくないポルノ映像を見せられる

参考:裁判所 「男女共同参画局」

これ以上DV・モラハラを受けずに離婚する方法


離婚を申し入れるとき,通常は口頭で話し合うことが多いですが、危害が加えられている状況では危険です。

夫婦間のパワーバランスが崩れている状況だと、不当に不利な条件を押し付けられたりする可能性もあります。

弁護士に相談して,適切なサポートを受けながら離婚を目指すべきです。

【アドバイス】対面せず、専門家に粛々と手続きを進めてもらうのが適切です。

DV・モラハラが原因の離婚では、そもそも話し合いに応じてもらえないケースが多数あります。

知人や実家を仲裁役としても、かえって混乱を招きかねません。

被害者と加害者はなるべく顔を合わせず、専門家に手続きを委ねて粛々と進めるべきです。

まずは専門機関or弁護士に相談する

最初の相談先として、弁護士もしくは全国に設置されている配偶者暴力相談支援センター「配偶者暴力相談支援センター」が適切です。

身の安全を早急に確保すべき状況であれば、保護命令または接近禁止命令を裁判所から発してもらうことも出来ます(後述)。

家庭内暴力の証拠を収集する


DV加害者が離婚に応じようとしない場合や慰謝料請求に備え、出来る範囲で被害の証拠を確保しておくことも大切です。

    【DV・モラハラの証拠となるもの】

  • 日記・メモ
  • 映像・録音・メール
  • 医療機関で得た診断書
  • 荒らされた室内の写真
  • ケガの写真(自分の顔が一緒に映っているもの)

離婚請求する


離婚請求時は、慰謝料と十分な生活保証を得るために「焦らずに進めること」がポイントです。

被害者自身が身の安全を確保した上で、極力ストレスの少ない方法を選ぶのが望ましいでしょう。

代理弁護士による交渉

「被害者につきまとう」「別居を理由に離婚事由が被害者側にあるとして慰謝料を求める」という悪質な例もあります。

このような状況の場合、調停を申し立てて引き続き離婚請求を行います。

家庭裁判所への調停申立


被害者自身もしくは弁護士から家庭裁判所に調停申立を行った際は、DV被害の経緯について詳しく説明しなければなりません。

そのため、時系列に沿って結婚から離婚決意までの経緯を記した「陳述書」等を作成します。

調停でも話し合いがまとまらない場合は、離婚訴訟を提起することになります。

【アドバイス】調停離婚でも弁護士が活躍します。

弁護士がサポートすることで、その助けを得ながら被害状況をスムーズに説明することが出来ます。

すぐに身の安全を確保する必要がある場合の対処


緊急時または子どもに危害が加えられている状況なら、迷わず警察またはDV防止センターへ相談しましょう。

公的機関への相談記録があれば、管轄の地方裁判所への申立で「保護命令」を発してもらうことが出来ます。

    【保護命令に含まれる5つの制限】

  • 接近禁止命令(6ヵ月間)
  • 配偶者への退去命令(2ヵ月以内)
  • 電話禁止命令(面会要求含む/6ヵ月間)
  • 子への接近禁止命令(6ヵ月間)

以上に違反した場合は罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)があり、実効力のある安全確保が出来ます。

離婚成立に成功したときの慰謝料請求額


離婚成立時の慰謝料は50~300万円と言われています。

不貞行為や義実家によるいじめを伴う事例では、300万円以上の高額請求が裁判所に認められる場合もあります。

・東京地裁平成21年8月28日判決:慰謝料300万円
…夫が妻に対し身体的暴力と脅迫を行い、包丁を突き付けて離婚届を書くよう迫ったケース

・東京地裁平成17年11月11日判決:慰謝料200万円
…夫が高圧的な態度をとり、32年間にわたって妻に主従関係を強いたケース。

・東京地裁昭和54年1月29日判決:慰謝料500万円
…義実家が加担して妻に精神的暴力+不貞行為を行っていたケース

DV・モラハラ問題はまず「相談する勇気」を


配偶者に対する加害行為は、身体的・精神的なものから経済的・性的なものまで多岐に渡ります。

家庭内での自身の扱いに疑問を抱いているときは、まず頼れる機関から客観的な意見をもらうのがベストです。

また、離婚成立まで一筋縄ではいかないことの方が多いです。

対面せず専門家による粛々とした手続きを行うことで、相手方の理不尽な要求をかわせます。

弊所ではご相談者様とお子様の生活を第一に考えています。

離婚を思いたった勇気を重んじ、弁護士介入という方法に留まらない幅広い視点からアドバイス可能です。

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