離婚調停の流れとに進めるためのポイント
離婚調停とは、家庭裁判所で調停委員に間を取り持ってもらい、夫婦間でさらに話し合うための場です。
一方的に有利な(または不利な)主張にならないよう配慮してもらえるため、専門家のフォローなしで臨む人は多くいます。
しかし、短く限られた時間のなかで自分の主張をきちんと伝えられるとは限りません。
夫婦ごとに存在する特殊な事情までくみとってもらい、調停委員の風向きを味方につけるための対策が必要です。
調停全体の流れを踏まえ、これから離婚調停に臨む人へのアドバイスをお伝えします。
離婚調停の流れ
調停離婚の申立を行ったあとは、家庭裁判所の決めたスケジュールに従って来所し、それぞれの主張を行います。
調停で話し合うテーマは「離婚そのものの請求」「養育費・財産分与」「婚費(婚姻期間中の生活費)」など様々で、それぞれのテーマについて順に合意するかたちで進行します。
①夫婦関係調整調停の申立
離婚調停(夫婦関係調整調停)に必要な書類と費用を、配偶者の居住地を管轄する家庭裁判所へ提出します。
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【必要書類&費用】
- 調停申立書2部(原本とコピー)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 収入印紙1,200円
- 事情説明書(任意)
【アドバイス】調停中の生活費も請求できます。
離婚調停と同時に「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てることで、離婚が成立するまでのお互いの生活費負担について実効力のある取り決めが出来ます。
②期日決定
必要書類提出から1~2週間後に裁判所から連絡があり、調停期日が伝えられます。
同時に配偶者にも「呼出状」が送付され、期日に来所するよう催促が行われます。
③第一回調停期日
申立から1ヵ月半~2ヵ月後に第一回調停期日がやってきます。
話し合い全体の所用時間は2時間程度で、30~40分ごとに交互に夫婦が調停室に入り、主張を行います。
主張を聞くのは調停委員(男女1名ずつ)であり、主張内容にあわせて助言が行われることもあります。
③第二回調停期日以降
ほとんどの調停は2回以上繰り返され、第二回以降は1ヵ月半~2ヵ月ごとに繰り返されます。
夫婦と調停委員だけでは話し合いをまとめることが難しいと判断されると、裁判官家裁調査官※が積極的に関与する場合もあります。
※家裁調査官とは…関係者への書面照会・夫婦の自宅訪問等の方法で、問題の実情を調査する人物です。
子どもの監護権を争うケースにおいて、積極的に関与する傾向があります。
④調停成立or不成立
夫婦が最終的な合意に至れば調停は成立し、調停調書が作成されます。
調書の内容は訴訟の判決と同様の効果を持つため、かならず守らなければなりません。
「調停にかわる審判」がなされると、話し合いではなく裁判官がジャッジする形式で離婚問題が終結します。
調停を有利に進めるコツ
調停では、主張を全面的に認める(あるいは認めない)という白黒はっきりした判断は下されません。
加えて、調停員は基本的に「譲歩すること」を夫婦双方に勧めてきます。
まずはしっかりと夫婦間にある“事実”について調停委員と認識をすりあわせ、自身の主張のなかで認められる範囲を最大化するのがポイントです。
事情説明書を作成しておく
任意で作成するものとされる「事情説明書(陳述書)」は、実際のところ必須書類と言っても差し支えはありません。
問題は、書式にきちんとした決まりがない点です。
事情説明書とは「根拠の確かな事実だけを・整理してわかりやすく伝える」ものです。
認識した上で、以下ポイントを押さえて作成しましょう。
作成のポイント①:時系列に沿って書く
長々と記述するのではなく、結婚したときから調停申立までの出来事を時系列(年月)に沿って述べます。
作成のポイント②事実だけを書く
「こうに違いない」「こう思った」という根拠のない確信や感情ではなく、起こったこと・見たこと・聞いたことだけを淡々と記述します。
配偶者の有責行為(不倫・DV等)について説明したいときは、その証拠や医療機関受診記録があることを添えましょう。
丁寧に作成した事情説明書でも、調停委員はさっと目を通すだけで終わることがほとんどです。
本人から直接話をきくことを重視しているため、事情説明書のなかで質問を受けた場合のことも想定しながら当日の練習をしておくのが望ましいでしょう。
調停委員と良好なコミュニケーションをとる
調停委員が述べる意見は、あくまでも当人が一般良識と信じるものです。
和解を急かす人物もおり、残念ながら相性が合うとは限りません。
ここで感情的になるとコミュニケーションがうまくとれなくなり、話し合いの旗色が悪くなります。
譲歩を勧めらたり理解のない意見が述べられたときでも、一貫して冷静かつ論理的な話し方を守って信頼を得ましょう。
譲歩できる点・できない点を意識する
当日の流れで何となく譲歩または強弁するのではなく、事前に「ここは譲ってもいい」「ここは絶対に譲れない」というラインを決めておくのが大切です。
離婚調停は弁護士に依頼を
離婚調停を無理にひとりで切り抜ける必要はありません。
弁護士のフォローがあれば、煩雑な書類準備から調停員の共感を得られる主張まで、一切を戦略的に進めることが出来ます。
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【弁護士にできること】
- 調停申立のための書類作成+手続き
- 一目で調停員に状況を伝えられる「事情説明書」の作成
- 調停期日への同行+調停委員との面談のフォロー
【弊所の強み】ご依頼前に「見通し」をお伝えします
弁護士の力添えが必要と分かっていても、費用対効果を懸念してなかなか依頼に踏み切れないのでないでしょうか。
弊所では、9年間に及ぶ500件以上の実績をもとに、ご相談時点から「見通し」をお伝えすることが出来ます。
弁護士介入で有利となり得る点だけでなく、認められる可能性の低い不利な主張・譲歩を強いられる可能性がある主張などを適確に指摘し、ご納得いただいてから依頼手続きを行える体制を整えています。
離婚調停成功のカギは「事前準備&当日のコミュニケーション」
離婚調停を有利に進めるためのポイントは、申立から期日当日までの戦略作りにあります。
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【離婚調停を成功させるためのポイント】
- 分かりやすく事実を網羅した「事情説明書」を作成する
- 調停委員への説明は「冷静かつ論理的」に
- 譲歩できる点・できない点をあらかじめ決めておく
「離婚調停を申し立てたいが何を準備すべきか」「呼出状が届いたが今後どうすればいいのか」というご相談は、弊所にお寄せください。
ご意向に沿った的確なアドバイスを提供いたします。